「その他流動資産」に入れる項目には要注意!

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2017/03/21

「その他流動資産」に入れる項目には要注意!

純ちゃん。今ある会社の貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)をみているんだけど、この「その他の流動資産」って項目が何か分かるかな?

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流動資産の意味は分かるんですが「その他」というのがあまりピンと来ないですね。

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実は、貸借対照表によく出てくるのがこの「その他の流動資産」という項目なんだけど、これが実に厄介なものなんだよ。

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何がどう厄介なんですか?

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実はこの項目の中に、一体何のお金なのかがわかりづらい項目を入れてしまう会社が多いんだよ。

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わかりづらい項目!?具体的にどんな項目なんですか?

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代表的なものとしては、前渡金(ぜんときん・まえわたしきん)、前払費用(まえばらいひよう)、短期貸付金(たんきかしつけきん)、仮払金(かりばらいきん)、立替金(たてかえきん)等かな。

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自社の貸借対照表を作る時に、それらの項目は使っちゃだめなんですか?

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ダメじゃないんだけど、ちゃんと経営者が何に使ったお金なのかを説明できることが大前提だね。ちょっと前渡金、前払費用、短期貸付金、仮払金、立替金について詳しく解説してみようか。

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よろしくお願いします。

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まずは前渡金。これは商品やモノを受け取る前に、その代金の一部、もしくは全部を前払いしたお金のことで、いわば手付金、着手金、内金と呼ばれるものだね。

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例えば私がオーダースーツを作ったとして、その代金15万円の内、着手金として5万円支払ったとしたら、この5万円が「前渡金」にあたるということですか?

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その通り。オーダースーツが最終的に納品された時点で、全体の代金から前渡金の5万円を差し引いた金額を支払わなければならないということです。

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この前渡金がなぜ「その他の流動資産」に入っていると厄介なんでしょうか?

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うーん。実際に前渡金は、海外から商品を輸入して国内で販売するような会社が、仕入れ資金を先に支払う場合によく使われるんだ。そういった前渡金がよく使われるビジネスを行う会社であれば全く問題ないんだけど、第三者に「なぜこのビジネスに前渡金が必要なのか?」と思わせてしまった場合には、しっかりとそれが「何のお金なのか?」を説明しなければならないんですよ。

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そういった説明さえできれば前渡金は項目として入れておいても良いということですね

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そういうことだね。次に、前払費用は、支払ったお金の効果が支払い時よりも後からあるような場合に支払う費用のことを言うんだ。たとえば地代家賃などがその代表的な例だね。

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何となく理解できたのですが、地代家賃がどうして前払費用になるんですか?

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地代家賃の契約書って大抵は月末までに翌月分を支払う契約になっているよね。たとえば、4月分の家賃は3月末までに支払ってくださいみたいに。おそらく純ちゃんの住んでいる賃貸マンションもそういう契約になっていると思うよ。

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なるほど。では、自動車保険とかも来月分を今月支払うことが多いので、これも「前払費用」に入る訳ですね?

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その通り!もっといえば、これから半年分の雑誌購読料をまとめて支払う場合も前払費用にあたりますね。これもちゃんと説明できれば「その他の流動資産」に入れてしまって全く問題ない訳です。

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じゃあ続いて短期貸付金を見てみよう。短期貸付金はその名の通り誰かにお金を貸して、1年以内に返済してもらうという約束になっているお金のことです。

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これも誰にいくら貸しているのかをちゃんと説明できれば、これも全く問題ない訳ですね。

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ところがどっこい。実は短期貸付金はあまりないようにしたい項目なんです。

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なぜですか?

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金融会社であればそもそもがお金を貸して利益を得るビジネスをしている会社なので「短期貸付金」という項目が入っていても何ら違和感はないですよね。ですがお菓子製造会社の貸借対照表の「その他の流動資産」の中に短期貸付金という項目が入っていたらどう感じますか?例えば純ちゃんが1000万円融資したお菓子会社がその内の500万円を「短期貸付金」として貸していたら…。

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「なんで本業じゃなくて人に貸してんの?こっちは本業でよりいい商品を開発してほしいから融資したのに…」って感じちゃいます(笑)

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金融機関も全く同じです。金融機関は大切な融資資金を誰かに貸していること自体に懸念を示してしまうんです。例えば短期貸付金の相手がその会社の社長だったりすると「公私混同も甚だしい」と大きなマイナスイメージになってしまいます。短期貸付金はしっかり説明できたとしてもあまりいい印象を持たれない項目なので、こういった項目がないように気を付けたいですね。

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でも、どうしても貸さなきゃいけない状況だったらどうするんですか?

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そうですね。決算前に返済いただく等の対策をする必要が出てきてしまいます。

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対策をしなければならないほど厄介な項目なんですね…。

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そうなんですよ。次の立替金も短期貸付金と同様に、本来自社が負担すべきものではない、他者が負担すべき資金を立て替えているものでしょうから、こちらも印象としてはあまり良くないですよね。だからあまりあるべきでは無いんです。あったとしても専門家に相談するなど十分に注意する必要があります。

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仮払金はどうでしょうか?

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仮払金というのは、取引や営業で必要なお金が先に出ているということです。資金が出ていったことは確認出来ているけれども、その使用用途が明確でない場合、清算されていない場合によく使われる項目です。これは、そもそもよく分かってないものに資金が使われている事自体が問題ですよね。これも印象が良くないので、会計事務所の方と相談して正しい項目に訂正してもらうのがベストですね。

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仮払金があまりに多いと、明確な項目にすることができない何らかの理由があるんだろうと判断され、経費と見られてしまいます。また、表面上は黒字決算を組んでいるけれども、実際は赤字なんだろうな、最悪の場合には債務超過なんだろうなと思われてしまって通る融資も通らなくなってしまう原因になってしまう可能性があるんです。

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「その他の流動資産」の中に入る項目には専門家に見てもらったり、十分に注意したほうがいいということですね。

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その通り。この中に入る項目については、まずは会計事務所に相談してしっかりと判断してもらうことが必要不可欠なんです。ここは意外と知られていないことが多いからね。

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なるほど!とても勉強になりました。

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本日のまとめ

その他の流動資産に入る主な項目

  • 前渡金、前払費用、短期貸付金、仮払金、立替金
  • 前渡金:商品の納品よりも先に支払った代金。
    (例)手付金、着手金、内金など…。
  • 前払費用:サービスの提供の効果が代金の支払いより後からくるような支出。
    (例)自動車保険、家賃など。
  • 短期貸付金:1年以内に返済をするという約束の元、貸し出すお金。
  • 立替金:取引先などが本来支払うべき金額を、会社が一時的に立て替える際のお金。
  • 仮払金:取引や営業などに必要な交通費や、旅費などを会社側が仮に支払うお金のこと。
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