借入金融機関数を考える

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2017/03/31

借入金融機関数を考える

湯原先生、借入金融機関数って一体どんな数のことを言うのでしょうか?

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借入金融関数は、その名の通り「借入ができる金融機関の数」のことですよ。

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借入をする金融機関の数ってメインバンク1行が基本なのではないでしょうか?

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確かにメインバンクという言葉を聞くと1行が基本だと思ってしまうよね。じゃあここで質問。材料を仕入れ、加工して販売しようと考えた時、材料の仕入業者は1社にしかコンタクトしませんか?

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もしその会社でしか取り扱っていないという材料であれば1社にしかコンタクトしないと思います。

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では、仕入れたい材料がその会社以外でも扱っているものだとしたらどうでしょうか?

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その場合は、数社から見積りを取り寄せて、条件の良い先から仕入れます。

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普通はそうですよね。では、定期的にその1社から材料を仕入れている時にその会社が倒産したらどうしますか?

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困ります!

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困りますでは済みませんよね。材料の仕入れがストップしてしまう訳ですから、加工して販売することができなくなってしまいます。もし仮にそういった事態に陥った場合にはどうしますか?

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急いで他の仕入れ先を探します。

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そんなにすぐに見つかりますかね?

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見つかる云々ではなく、見つけないとこっちが倒産してしまいますよね。

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そうですよね。それであれば、最初から数社の仕入れ業者を確保しておけばよかったとは思いませんか?

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確かに・・・。もしものことを考えると、複数の仕入れ先を確保しておけば、1社に何かが起こっても、2社目に多く発注したり、柔軟に対処できますね。

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そうですね。つまりいざという時のために1社だけではなく数社の仕入れ業者を確保しておく必要があるという事です。これは以前、現預金の箇所でもお伝えしましたが、財務の基本は「いざという時に柔軟に対処できること」でしたよね。

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そうですね。財務は潰れにくい会社を作る戦略ですもんね。

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この仕入れ業者を金融機関に置き換えてみてください。今質問した例と同じことが金融機関でも言えるんです。1社のメインバンクと取引を行うよりも、複数の金融機関との取引を並行して行なっておけば、いざという時にも信頼があり、柔軟に対処することができます。

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この理屈は、金融機関から融資を受ける際にも同様です。金融機関1行独占状態で融資を受けていると、他行からの融資が入りにくくなり、借入金・返済期間・金利といった条件面も話し合いの余地がなくなってきてしまいます。しかし、複数の銀行から同程度に借入をしていれば、各金融機関は他行の条件を参考にしたり、他行より良い条件を提示してくれたりと融資する側、受ける側双方に多くのメリットがあるんです。

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金融機関側にもメリットがあるなんて意外でした。

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意外でしょう。このように1社独占で融資を受けるよりも、複数の銀行から融資を受けた方が柔軟に対応できるし、金利も安くなる可能性も十分にあるので、1社独占というのはやめた方がいいと思います。

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そうですね。突然金融機関から追加融資を断られてしまったら、一気に資金繰りが悪くなってしまいますもんね。

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それに、融資の場合は、それ以外にも自分でコントロールできないことで融資が突然止まってしまうこともあるんだよ。

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どんなことが原因で止まってしまう可能性があるんですか?

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実際にあった例をあげて解説していくね。

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ある地方銀行の支店の貸出先で倒産がありました。たまたま同じタイミングで同業種の別の会社が融資の相談に行ったんだそうです。金融機関側が出した答えは「融資できない」というものでした。後日談でその理由を聞くと、その地方銀行の本部より、倒産した会社の業種に対する融資審査が甘かったのではないかとの指示があり、その業種に対する新規融資が全て止まったということでした。

このように、自社には全く関係の無いところで融資が止められてしまうリスクがあるんです。

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ひえ〜。やはり財務的には1社の金融機関とだけ取引するというのは、リスクが高いんですね。

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そうなんです。また、融資が必要な金額に関しても同様に1社と取引するのは目標の金額の融資が得られない可能性が出てきます。例えば純ちゃんがどうしても5000万円の融資を得たいとします。1行から5,000万円の資金調達となれば、通常は本部稟議という審査を通さなければいけません。そのために提出しなければならない資料も多くなります。当然その分、融資可否決定までに時間もかかってしまいます。

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いくらぐらいまでであればスムーズに融資実行まで進んでいくものなのでしょうか?目安とかはあるのでしょうか?

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おおよそ3,000万円程度までの融資であれば、支店長の決裁枠に収まり、比較的スムーズに融資実行まで進んでいきます。

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そうなんですね。

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仮に1行で5,000万円の融資が実行されたとして、次に新店舗出店などで追加で5,000万円の融資を受けたいとなった場合、金融機関は融資してくれるでしょうか?

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追加となるとさすがに無理なんじゃないでしょうか。

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その通り。まず融資不可能と考えた方が賢明でしょう。これが1行だけから融資を受けていた場合の限界です。

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では、複数の銀行と取引をしていた場合には、同じように総額5,000万円融資を受けていたとして、追加で5,000万円の融資を受けられる可能性があるということですか?

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そうなんだ。例えば最初の5,000万円の資金を、A行から2,000万円、B行から1,500万円、C行から1,500万円という風に3行から調達していたとしよう。そうすれば、追加融資の5,000万円が必要となった際には、A行に1,500万円、B行に2,000万円、C行に1,500万円という風に3社それぞれに融資を相談すれば、5,000万円の追加融資額に到達する可能性は高まりますよね。

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なるほど。1行と取引よりも3行との取引の方がより多くの融資額を得られる可能性があるということなんですね。

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そうなんだ。このように複数行との取引というのは融資の世界でも十分通用するものなのです。ちなみに、以前財務の強い会社というのは「現金がより多く調達できる会社」と言い換えることもできることは、お話ししたよね。

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はい。だから財務的には資金調達の際も「より多くの融資額を得る可能性が高くなる」という意味で、1行よりも複数行と取引した方が良いということですね。

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その通り!大分わかってきたね。ここで、改めて財務的視点から金融機関数を考えると、次のような目安になる。この目安に沿って借入金融機関数を増やしていくといいと思うよ。

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表1,売上高別、借入金融機関数の目安
売上高 借入金融機関数
3億円未満 5行
3億以上〜5億円未満 7行
5億以上〜10億円未満 10行
10億以上 12行

こういった目安表があるとわかりやすですね。

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そうですね。より多くの経営者に、この目安に沿って借入金融機関数を増やし、一定の事業規模感がでる売上高10億円まで一気に進んでいっていただきたいものです。

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本日のまとめ

  • 1行と独占的に取引するよりも複数行と取引している方が、より多くの融資を得られる可能性が高くなったり、借入金利が低くなる可能性があったり、財務戦略的に良い!
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