売上高3億円の壁を越えるために必要な資本金とは?

2017/03/31

売上高3億円の壁を越えるために必要な資本金とは?

湯原先生、以前資本金額の目安を教えていただいたと思うんですが、売上高3億円を超えていくためには実際どれくらいの資本金額が適切なんでしょうか?資本金の額で売上高3億円の壁を越えていくってイメージが全然湧かないんですが・・・。

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そうですねぇ。売上高3億円をイメージすると、売掛金や在庫、固定資産等さまざまなものが増えてきます。そのための買掛金、借入金等もそうですよね。この時点で会社の総資産は2億円位になっているのではないでしょうか。

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なるほど、売上3億円規模になると大体そういう内訳が見えてくるものなんですね。

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そうですね、必ずどの会社もこうなるということではありませんが、一般的に考えてそういう内訳が見えてくるということです。

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そうなんですね。

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総資産が2億円ということは、負債及び資本の部の合計も2億円という事です。この段階で借入金は1億円を超えているでしょう。買掛金も3,000万円位あるかもしれません。未払金も1,000万円位とか・・・このように、負債の部だけざっと計算して1.6億円とすると、資本の部は2億円から1.6億円を引いた残りの4,000万円になります。さて、この会社の資本金はいくらとすれば良いでしょうか?

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うーん。1,000万円でしょうか?

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1,000万円ですか。いいですね。あとでご説明しますが、売上3億円が見えてきた時の資本金の額としては適切ですよ。むしろここで考えていただきたいのは、資本金の額ではありません。資本金が1,000万円だとしたら、残りの3,000万円は過去からの利益の積上げである、繰越利益剰余金になります。はたしてこれまでにそれだけの利益を過去積み上げてこられたでしょうか?

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うーん、おそらく創業してから売上3億円規模になるまでは、会社に勢いがあると思うので、3,000万円くらいの利益の積上げがあってもおかしくないような気がしますが・・・。

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なるほど、純ちゃんはそう考えたのですね。会社に勢いがある時期なのは確かですが、私の経験では、実際節税に励み、利益の積上げを怠ってきた会社が大半でした。

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確かに、私の友人が2年前に会社を立ち上げたんですが、よく「節税が大切、節税が大切」と口癖のように言ってきます。

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そうでしょう。「とにかく利益が出たら節税だ」と、一体それが会社の財務にどういう影響を与えるのかを理解せずに節税に走る経営者が非常に多いと思います。先ほどの例で総資産2億円で、資本の部合計が4,000万円だと自己資本比率は20%になるはずです。しかし、節税などで利益の積上げをほとんどしていなければ、資本の部合計がもっと減っているはずです。例えば資本の部の合計が2,000万円であれば自己資本比率は10%。もしかするとさらに減って500万円(こうなると過去の累積損益は赤字なんですが・・・)であれば自己資本比率は、わずか2.5%です。こんなイメージができてしまいます。

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確か自己資本比率は、金融機関が融資の可否を判断するときに「正常な経営状態かどうか」を判断する材料になると以前の講義でおっしゃっていましたよね?

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よく覚えていたね。その通りだよ。金融機関は自己資本比率が10%を切ってくると会社の体力が脆弱と判断し、融資に後ろ向きになります。それはそうですよね。資産の部のほとんどを借入等の負債に頼っていると数字上では出てきてしまいますから、これでは、金融機関にとっては「いつ倒産するか分からない会社」と判断されても仕方ありません。

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そんな会社の融資が通るはずがないですよね・・・。

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ですから、そう判断されてしまう前に利益体質な会社にして欲しいというのが私の提案です。

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それは、節税対策で利益を削るのではなく、利益の積上げを積極的に行い、資産の部における自己資本の割合を少しでも増やして欲しいということでしょうか?

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そういうことです。しかし、利益の積上げは年に一度の決算時にしかできません。ですから「今から決算時までは待てないよ」という方に私がご提案したいのが「資本金を増額して過去の時間を取り戻しましょう」という事です。

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なるほど。

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ちなみに財務的視点から売上高と資本金の適切な関係を出して行くと次の表のようになります。

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表1,財務的視点から見た売上高と資本金の適切な関係
売上高 資本金の額
3億円 1,000万円
5億円 2,000万円
10億円 3,000万円

これは分かりやすいですね。

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このような数字のイメージをもって経営に臨んでいただきたいというのが私からの提案です。これで会社の成長スピードを落とすことなく、資金調達が進むはずです。理解できたかな?

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はい。とても分かりやすく理解できました。今日もありがとうございます。

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本日のまとめ

  • 過度な節税対策をして会社の利益を削ってしまうと、自己資本比率を下げ、金融機関からの評価が悪くなってしまう可能性がある。それよりも、少なくとも創業5期目までは積極的に利益の積み上げを行い、自己資本比率を少しでも上げ、利益体質の会社を作り上げることが財務的には大切。金融機関からの評価を上げることにも繋がる。
  • 売上3億円、5億円、10億円が見えてきたら、上表1のような数字をイメージしながら経営に臨む。
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