自己資本比率の目安とは?

2017/09/16

自己資本比率の目安とは?

以前は、財務は企業が貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)などの財務諸表を作成し、会社の財務状態を公表することを目的とした会計だと思っていたのですが、中田先生から財務を学ぶようになってきてから、実質経営においては損益計算書(P/L)よりも貸借対照表(B/S)の方が重要だということがだいぶ分かってきました。

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そうなんですよ!経営者はどうしても売上、利益、税金といった損益計算書(P/L)の方に目が向きがちなんですが、損益計算書が重要になるのは財務ではなく税務の方であって、財務は会社の存続にかかわるので現預金残高、つまり貸借対照表(B/S)が重要なんです。純ちゃんも随分財務のことを分かってきたようですね。嬉しいです。

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そこで1つ新しい疑問が湧いてきたのですが、質問してもいいでしょうか?

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もちろんですよ。

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会社の規模が大きくなり、借入も進んでくると自己資本比率が以前よりも低くなってきてしまうと思うのですが、気にしておくべき自己資本比率の目安のようなものはあるのでしょうか?

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おさらい

※自己資本比率について基礎から学びたい場合には、次の記事を読んでから、本記事を読んでいただくとスムーズです。

【資金調達や財務の関連オススメ記事】

「資本金はいくらが適切なの?」
「売上高と利益は一体どちらが重要なの?」
「資金調達にファクタリングを活用!? おすすめ業者比較」

なるほど。自己資本比率とは随分マニアックなところをついてきますね。しかし、財務戦略を考える上で、自己資本比率というのは非常に大切で、経営者がこれを理解しているのかによって、今後の企業の成長スピードに大きな差が生まれてくるんですよ。ちなみに純ちゃん自身は自己資本比率は高い方がいいと思うでしょうか?それとも低い方がいいと思うでしょうか?

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「〜率」ですから、やはり高い方が良いわけですよね。

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普通はそうだよね。でも一概にそうとも言えないんです。以前、「資本金はいくらが適切なの?」というテーマで行なった講義で一度この自己資本比率というテーマを扱っているんですが覚えていますか?実質無借金経営の話をした講義です。

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たしか、資本金100万円で現預金残高100万円の自己資本比率100%の会社と、資本金100万円で借入金が9,900万円、現預金残高が1億円、自己資本比率が1%の会社ではどちらが潰れにくいか?という質問をされた講義のことですよね。

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そうです。では、改めて同じ質問をします。復習だと思ってもう一度次の質問に答えてみてください。

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中田からの質問

  • Aさんは資本金100万円で会社を設立しました。自己資本比率は100%です。一方Bさんは同じく資本金100万円で会社を設立し、すぐに創業融資で9,900万円の借入をしました。現預金残高は1億円、資本金は100万円のままにしたため、自己資本比率は1%です。自己資本比率が100%で現預金残高が100万円のAさんの会社と、自己資本比率が1%で、現預金残高が1億円のBさんの会社ではどちらの方が倒産リスクが低いでしょうか?

Bさんの会社です。

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素晴らしい。一見無借金経営のAさんの会社の方が倒産リスクが低いように思えてしまいますが、財務的視点に立てば、Bさんの会社の方が倒産リスクが低いと言えます。その理由を説明できますか?

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現預金残高がBさんの会社の方が高いからです。

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そうですね。補足をするとBさんの会社は現預金残高が1億円、借入が9,900万円とほぼイコールの実質無借金状態です。それに加えて、1億円という現預金残高に守られています。創業したばかりの会社で現預金を1億円もつということは今後何年分かの経営資金がもうすでに手元にある状態であるということです。一方で、Aさんの会社は現預金が100万円しかありません。いくら創業したての会社だといっても100万円だと何ヶ月分かの経営資金にしかならないでしょう。その間に経営を軌道にのせなければ、現預金が枯渇して倒産です。こう考えると両社が確保した時間の差は歴然です。

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そうですね。ここまで両社の時間的な猶予が違ってくるなんて・・・。

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財務力とは現預金残高で計られ、現預金残高が高いということは、たとえ短期的な収益悪化にも耐えうる力がある、つまり不測の事態に対処できるだけの時間の確保につながります。そのため、自己資本比率の高さだけで、その会社の健全性を判断することは非常に危険なことなんですよ。

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なるほど!自己資本比率は高いに越したことはないけれども、現預金残高も併せて見なければならないんですね。

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そうなんです。自己資本比率が高いだけで現預金残高が少ない先ほどのA社のような場合は、不測の事態に直面したときに一気に黒字倒産する可能性があるということなんです。では、ここで一つ純ちゃんに質問です。

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中田からの質問

  • 資本金100万円で現預金残高100万円、自己資本比率100%のA社が倒産リスクを減らすために財務戦略として何を行うべきでしょうか?

借入をして、現預金残高を増やすことです。

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その通り。A社が今の現状から倒産リスクを減らすために財務戦略として行うべきは、自己資本比率を下げてでも、しっかりとした現預金残高まで金融機関から資金調達をすることです。

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しっかりとした現預金残高というのは、平均月商の3ヶ月分でしたよね。

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そこはもう大丈夫だね!合格!さらに詳しい話をすると、例えば売上5億円を超えるためには自己資本比率を15%位にまで下げてでも盤石な財務基盤、すなわち潤沢な現預金残高を確保する。財務基盤が整ってから、出店などの投資計画へと進んでくと良いのです。

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でも、ほとんどの経営者が財務基盤が整う前に投資をしてしまうということですね。

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そうなんです。ほとんどの経営者がまず投資をしてしまいます。さらには、その投資回収計画も売上だけを考えて、投資回収年数などをあまり考えていない場合が多いので、結果として不採算店舗や事業部になってしまい、手元資金が少なくなってしまいます。さらに金融機関からの追加調達が厳しくなります。このような悪循環に陥り、倒産してしまうケースを私はこれまでいくつも見てきました。ですから経営者にもっと”財務”という視点で会社を見て経営判断をしていただきたいのです。

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そうなんですね。以前中田先生が言われていたように企業が倒産する大半の理由は投資の失敗による財務の悪化。だからこそ、投資をする前にもし失敗しても事業を立て直せるだけの潤沢な財務基盤を構築してから投資計画へと進んでいくことが財務戦略としては重要だということですね。

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そうなんです。

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ちなみに、もし自己資本比率を15%位に下げても十分な現預金残高を確保できない場合はどうすればいいでしょうか?

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その場合には、売上や利益の見直し、そして同時に増資による資本増強を検討すべきですね。

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なるほど。そういった対策をしなければならない場合もあるということですね。ありがとうございます。

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自己資本比率に関する財務戦略について分かってきましたか?

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はい。私のマニアックなテーマでしたが中田先生のおかげで、凄くよく分かりました。ありがとうございました。

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本日のまとめ

  • 会社の財務の健全性は、自己資本比率の高さだけではなく、併せて現預金残高が平均月商の3ヶ月分以上あるかどうかも見て判断する。
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