固定資産、繰延資産への投資の回収期間はどれくらいに設定すべき?

みんなの財務|経営者のための情報サイト

財務に強い経理担当育成スクール
2017/03/21

固定資産、繰延資産への投資の回収期間はどれくらいに設定すべき?

今日は会社が行う「投資」について学んでいこう。

人物アイコン

よろしくお願いします。

人物アイコン

会社には主に流動資産、固定資産、繰延資産という3つの資産が存在するんだ。これは知ってたかな?

人物アイコン

知らなかったです。一体それぞれどういった特徴をもった資産なんですか?

人物アイコン

じゃあ「投資」について学ぶ前にこの3つの資産について解説していくね。

人物アイコン

ありがとうございます。

人物アイコン

そもそも「資産」というものの定義を知っているかな?

人物アイコン

うーん。言われてみれば、資産って何なのか上手く説明できないですね。

人物アイコン

じゃあまずそこからだね!
まず、資産とは、元々あった現預金が投資によって形が変わったモノのことを言うんだ。たとえば建物だったり、備品だったり、車両、将来のビジネスにに必要なモノなど、投資によって現預金が形を変えたモノが資産の定義なんだ。今回はその中でも特に重要な固定資産と繰延資産について解説していくね。早速だけど、この2つの資産の違いはそれぞれ何だと思う?

人物アイコン

うーん。費用を回収する期間とか…!?

人物アイコン

違うんだな。じゃあ固定資産と繰延資産について、それぞれ解説していくね。

人物アイコン

よろしくお願いします。

人物アイコン

まず固定資産は、お金になるまでの時間が長い資産のことを言うんだ。たとえば、会社の所有する造作だったり、社有車、備品周りなどが固定資産になる。

人物アイコン

なるほど。では、繰延資産はどういった資産なんですか?

人物アイコン

繰延資産は3つの資産の中でも特殊で、投資の効果が1年以上有り続けるもののことを言うんだ。たとえば箱モノの開業費用がそれに該当するね。

人物アイコン

箱モノの開業費用ってなんだか「資産」って感じがしないですね。

人物アイコン

そうだね。だから3つの中で繰延資産だけちょっと特殊なんだ。たとえば箱モノの開業費用として投資したお金は会社が潰れない限り利益を出し続けるよね。

人物アイコン

なるほど、だから「資産」って感じがなくても、利益を生み出すものとして「資産」に該当するんですね。

人物アイコン

そういうことだね。さて「資産」について学んだところで、早速今日の本題に入ろうか。

人物アイコン

まだ本題じゃなかったんですね…笑

人物アイコン

もう少し続くよ!頑張ってね。

人物アイコン

よろしくお願いします。

人物アイコン

実は会社が所有する資産というものは、元は会社の現預金だったというのは分かるよね?

人物アイコン

はい。分かります。

人物アイコン

このように「資金を資産に投じる」ことを「投資」と言うんだ。実は、会社の資金で投資を行う際に注意しておかなければならない点があるんだけど、何か分かるかな?

人物アイコン

回収できないリスク…とかですかね?

人物アイコン

おしいね。実は、投資した金額を何年で回収できるかという事に一番注意しておかなければならないんだ。

人物アイコン

一体何年で回収できればベストなんですか?

人物アイコン

ちょっと順を追って解説していくよ。以前の講義で「財務で最も重要な点は現預金残高の多さだ」というお話はしたよね。

人物アイコン

はい。

人物アイコン

現預金残高はなるべくキープしておきたい訳だから、数百万円から数千万円になる投資をする際には、当然金融機関から融資を受けて行うことになる。たとえば仮に、金融機関から返済期間5年で借りた資金を投資したのであれば、その回収期間が返済期間の5年を超えてしまっては、返済資金に詰まってしまいやすくなるんだ。このことから、投資を行う際には回収期間を返済期間よりも短く設定することが重要になってくる訳なんです。

人物アイコン

たとえば投資に回した資金の返済期間が5年であれば、どれくらいを回収期間として設定するのがベストでしょうか?

人物アイコン

返済期間が5年であれば3年未満、7年であっても5年未満でなければ、その投資計画は良いとは言えませんね。それほどまでに長い期間順調に事業が進むということはないと考えておきましょう。当初の計画通りに売上利益を出せなくなったとしても、その時には既に回収は済んでいるから心配ない、こうありたいものです。

人物アイコン

なるほど。それでは財務的には投資回収は3年未満を基準として5年を超えないように気を付けていればいいんですね。

人物アイコン

表1,固定資産・繰延資産の内容
資産の種類 資産の内容
固定資産 販売・営業目的ではなく、1年以上現金化されることなく使う資産
→土地・建物・備品(パソコン、デスク、椅子など)など
繰延資産 投資の効果が1年以上あり続ける資産
→創立費用、開発費用など

その通りです。ちなみにこれは周辺知識になりますが、減価償却の方法の選択も「投資の回収期間の設定」と共に重要になります。減価償却ってどういうものかは分かるかな?

人物アイコン

減価償却って良く聞くんですが、あまり自信が無いですね…。

人物アイコン

減価償却というのは、投資などで投じた資金を将来の事業収益見込みに合わせて費用配分する手続きのことなんだ。イメージとしては分割払いのような感じかな。たとえば10年使う予定の新店舗を5,000万円で建てたとすれば、この5,000万円は少なくとも10年で分割して、その期の会計に対応する500万円を計上する。仮にこの新店舗で毎年5,000万円の売上が上がっているのであれば、一度に5,000万円を計上してしまうとその期だけ「5,000万円の売上を上げるために5,000万円の費用がかかった」ということになるよね。これでは、その期は会社として大赤字という結果になってしまうし、融資をしてくれる金融機関のイメージも悪くなってしまうからあまりよろしくはないよね。

人物アイコン

一度に費用として計上せずに、新店舗が毎年上げる売上の中に毎年少しずつ計上していくのが減価償却なんですね。

人物アイコン

そういうことだね。

人物アイコン

実は、この減価償却の方法には大きく分けて定率法と定額法の2種類があって、どちらを選ぶかが財務にとって非常に重要なんだ。

人物アイコン

どちらを選ぶのが正解なんですか?

人物アイコン

ずばり定額法を選択することを考えるべきなんです。

人物アイコン

なぜ定額法を選ぶ方が良いのでしょうか?

人物アイコン

まず定率法と定額法の違いから解説していこう。定率法は、償却初期に多額の償却費を計上し、徐々に毎期の費用計上が少なくなる方法。そして、定額法はその名の通り、償却期間中に一定の金額の償却費を計上していく方法です。つまり、期間は同じでも計上する額が選択する方法によって違うということですね。

人物アイコン

なるほど。でも私としては、早く費用を計上してしまいたいと思っちゃうんで、事業が軌道に乗る最初の時期に多く払う方が健康的な感じがするんですが…?なぜ定額法の方が良いのでしょうか?

人物アイコン

ではそんな純ちゃんに一つ質問を。ビジネスって創業していきなり絶好調になると思いますか?それとも徐々に時間をかけて絶好調になっていくと思いますか?

人物アイコン

会社によって違ってくると思いますが、後者の方が多いんでしょうね。

人物アイコン

そうなんです。後者のように徐々に売上利益が出て、絶好調になっていく会社が実際は多いんです。創業当初はどの会社も事業が軌道に乗っているわけではないので、赤字になるリスクを多く抱えています。その中で試行錯誤をしならが会社として大きく成長していくんですね。

人物アイコン

よく創業して3年以内にほとんどの企業が倒産してしまうと言われているのもこのためなんですね…。

人物アイコン

そうですね。そのような企業の成長過程の中で、初期に多額の償却費を計上できる定率法を選択してしまうと、ただでさえ赤字のリスクを抱えているのにもかかわらず、より赤字になる可能性が上がってしまいます。会社の存続を考えた場合、減価償却の方法は定額法を選択することを考えた方がいいと思います。

人物アイコン

そうなんですね。勉強になります。今回の投資の回収期間の設定や減価償却方法の選び方とか、会社の財務っていろいろな所に落とし穴があって怖いですね。

人物アイコン

そうだね。本当は創業時には財務の専門家として相談しながら、財務環境を構築していくのが一番手堅くて安全なんだけど、専門家に相談する費用を考えて自分でやってしまう人の方が多いのが現状なんだ。だから、現預金残高や今回のお話のような思わぬところで足をすくわれて、対策をするために、最初の相談以上の費用がかかってしまうなんてことがよくある。財務は最初が肝心だから、この先5年、10年と続く会社を作りたいのであれば最初は専門家に相談しながら財務を構築していくのがベストだね。

人物アイコン

財務は最初が肝心…。勉強になります。湯原先生、今日もありがとうございました。

人物アイコン

ここは大切だから次回までにしっかり復習してきてね。

人物アイコン

はーい。

人物アイコン

本日のまとめ

投資金額の回収期間の決め方

  • 投資金額の回収期間は返済期間よりも短いことがマスト。さらに言えば、財務的には投資の回収期間は3年未満を基準として、5年を超えないことがベスト。

減価償却について

  • 減価償却:投資などで投じた費用を将来の事業収益見込みに合わせて配分する手続き。償却方法として「定額法」と「定率法」がある。
  • 定額法:償却期間中に一定の金額の償却費を計上していく方法
  • 定率法:償却初期に多額の償却費を計上し、徐々に毎期の費用計上が少なくなる方法

減価償却方法の選び方

  • 創業時の減価償却の方法は「定額法」がベスト。創業当初は赤字になるリスクを多く抱えているから、創業当初から多額の償却費用を計上するのは赤字のリスクをさらに向上させるためよろしくない。
財務でお悩みの経営者へ
財務スクール

カテゴリー一覧

みんなの財務 おすすめ記事

  1. 自己資本比率の目安とは?

  2. 投資回収期間はどれくらいが適切?

  3. 売上高と利益は一体どちらが重要なの?

  4. 売上規模に合わせた資本金・自己資本比率の考え方

  5. 潰れにくい会社を作る!必要な最低現金預金残高はいくら?

教えて!QA

みんなの財務に寄せられた経営者からの実際の質問に財務のプロ湯原がお答えいたします。かなり具体的な個別ケースが出ておりますので、ぜひ参考にしてみてください

話題のキーワード

売上 現預金残高 売上高 短期貸付金 自己資本比率 債務超過 売上3億円超の財務戦略 保証協会付融資 創業融資 資金調達 資本金 創業時の財務戦略 プロパー融資 融資 基本の財務戦略