キャッシュフローを助けるファクタリング~消費税はどうなるの?

2018/11/07

キャッシュフローを助けるファクタリング~消費税はどうなるの?

 

事業者同士の取引を行うと、納品後の入金は売掛金として後日支払われることが多くあります。

しかし創業間もない企業や、中小企業にとって入金が遅くなると資金繰りが苦しくなることがあります。

また、「売掛金が入金されずに取引先が倒産」ということもありうる話です。

その対策として使われる手法として「ファクタリング」と言うものがあります。

手数料はかかりますが、キャッシュフローが改善できるメリットがあります。

とても良いサービスなのですが、ここでもう一つ気になることがあります。

それは「消費税の扱い方」です。

売掛金には消費税が含まれていることが多くあります。

ファクタリングの場合、消費税はどのように扱えばよいのでしょうか。

今回この記事では、以下について解説していきましょう。

ファクタリングについて

ファクタリングとは売掛による債権を売買することで債権を現金化する取引のことです。

似たような資金調達手段として売掛債権を担保にして融資を受けると言うものがあります。

しかしこの場合、審査に時間がかかることがあります。

さらに有利子負債になりますので利息が発生し、バランスシートが悪化する可能性があります。

資本金や利益剰余金の少ない企業には苦しい手段です。

一方でファクタリングでは売買取引なので、自己資本の現金としてバランスシートに載せることができます。

ファクタリングのメリット・デメリット

ではファクタリングにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット
債権未回収のリスクを回避
与信管理のコスト削減
キャッシュフロー(資金繰り)改善
バランスシートの健全化中小企業・個人事業主も使用可
デメリット
登記が必要な場合かかるコスト
手数料分の入金が減額
取引先の承諾が必要
(3社間ファクタリングのみ)

このように、ファクタリングは手数料のデメリットを相殺することができれば、健全な企業経営を助けるメリットが多くあります。

特に取引先の与信管理は重要ではあるものの、知識と手間を要します。

その部分をファクタリング会社にアウトソーシングできると考えれば、人員の限られた中小企業や個人事業主には助かる取引だと言えます。

様々なファクタリング取引

ファクタリングには様々な取引方法があります。

3社間ファクタリング

売掛債権をもつA社は売掛債務のあるB社から承諾を受け、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡します。

そして、ファクタリング会社はA社に債権の買い取り金を支払います。

さらにファクタリング会社はB社から売掛金を請求し入金してもらいます。

このように、B社がすぐに支払えないときなどに役立つサービスだと言えます。

しかし取引先がファクタリングに難色を示すなど、互いの信用を損なう可能性があります。

そのような時のために、もう一つのファクタリング方法があります。

2社間ファクタリング

売掛債権を持つA社はファクタリング会社に債権を譲渡し、買取金を入金してもらいます。

A社はB社から売掛金を受け取り、それをファクタリング会社に入金します。

このファクタリングであれば、取引先の承諾を得る必要がなくなります。

しかしこの場合では、A社が得た売掛金が支払われる保証として債権譲渡登記を求められることがあります。

 保証ファクタリング

先の2つのファクタリングは「買取ファクタリング」と呼ばれるものです。

それとは別のファクタリングサービスとして保証ファクタリングと言うものがあります。

これは売掛債権の譲渡は行いません。

その代わり取引先の倒産など債務不履行の状態になった時にその未回収金を保障してくれるファクタリングです。

またファクタリング会社が取引先の与信調査を行うため、自社で与信管理する手間が大幅に削減されるのです。

ファクタリングと消費税

これでファクタリングについて理解していただけたと思います。

ところでファクタリングをする上で、消費税はどのような扱いになるのでしょうか。

結論から言うと、ファクタリング取引そのものに消費税を考慮する必要はありません。

その理由は消費税の原則を思い出していただければ理解していただけると思います。

そこでここからは消費税についておさらいをしてみましょう。

消費税について

消費税とは物品の購入、もしくはサービスを受けることによる「消費」に対して一定の税額をとる間接税の一種です。

いわゆる一般の最終消費者として消費するときは販売価格に加えて消費税を小売店に支払います。

仕入れと販売をする企業や個人事業主も仕入れの際は消費税分を支払い、販売するときは消費税分を受け取ります。

しかし、企業や個人事業主が消費税を納税するときは少し違います。

販売によって得られた消費税額から仕入れのために支払った消費税額を指差し引いた残りの金額を「消費税」として納税します。

消費税の納税イメージ

A社はとある商品の仕入れと販売のために以下のような取引をした。

販売額10,000円+消費税額800円
仕入額5,000円+消費税額400円

この時、A社が納税すべき消費税額は

販売で得た消費税額800円―仕入で支払った消費税額400円=400円

この400円を納税すれば良い。

消費税の対象品・非対象品

次に消費税には課税が求められるものと、そうでないものがあります。

消費税が発生する条件

  • 国内での取引
  • 対価が発生するもの
  • 事業行為

消費税が発生しないもの

  • 海外での取引では発生しない
    ※国内での輸出入作業・海外への通信費用は発生する
  • 贈与・無償の物には発生しない
  • 後日返還前提の物には発生しない
  • 家事行為では発生しない

このように、「日本国内で対価が発生した事業行為」が消費税の対象となるのです。

ところで、これらの条件にある取引でも非課税になるものがあります。

非課税になる取引

消費税が非課税になる取引例

  • 土地の譲渡・貸付( 1ヶ月以内の貸し付けは課税)
  • 有価証券などの譲渡(ゴルフ会員権は課税)
  • 支払い手段の譲渡 収集目的の硬貨などは課税
  • 預貯金の利子や保険料を対価とするサービス
  • 日本郵便株式会社が販売する切手の譲渡
  • 印紙の売渡場所における印紙の譲渡
  • 地方公共団体などが発行する証紙の譲渡
  • 国などが行う行政サービス
  • 外国為替業務でのサービス
  • 社会保険医療に関する給付 (保険外の医療は課税される可能性)
  • 介護保険によるサービス
  • 社会福祉事業におけるサービス
  • 助産によるサービス
  • 火葬料・埋葬料などのサービス
  • 身体障碍者向けの物品・サービス
  • 学校教育でのサービス
  • 教科書類の譲渡
  • 住居の賃貸料(1ヶ月以内のものは課税)

このように、社会保障や生活保障に関わるサービスや直接の消費にはならない取引に関しては消費税が発生しないことになってるのです。

ファクタリングでの消費税と会計処理

そして、ファクタリングに対する消費税ですが、ファクタリング取引は上記の項目のうち「有価証券などの譲渡」に当てはまります。

したがって、ファクタリング取引を行っても手数料も含めて原則非課税なのです。

ファクタリング時に支払う消費税

では、実際にファクタリングを行った時に支払うべき消費税はいくらになるのでしょうか。

例として40万円で仕入れた商品を50万円で販売した時のケースで考えてみましょう。

通常取引での消費税

(仕入)40万円+消費税(8%)=43万2千円
(販売)50万円+消費税(8%)=54万円
(売掛)54万円【入金額】
(消費税)4万円―3万2千円=8千円

このように、8千円の消費税を納める必要があります。

次にファクタリングを行った場合です。

※ファクタリングの手数料を10%と仮定します

ファクタリング時の消費税

(仕入)40万円+消費税(8%)=43万2千円
(販売)50万円+消費税(8%)=54万円
(ファクタリング)54万円―手数料(10%)=49万6千円【入金額】
(消費税)4万円―3万2千円=8千円

このようにファクタリングで売掛債権を譲渡しますが、消費税は発生しません。

したがって通常取引と同じ消費税を納めればよいのです。

ファクタリングでの会計処理

では、実際の帳簿ではどのような処理が適切なのでしょうか。

一般の売掛金の場合、「借方」に売掛金、「貸方」に売上げとして記録します。

ファクタリングを行った場合、「借方」に未収金として、売掛金を「貸方」に記録します。

そしてファクタリング会社からの入金を確認後、「借方」の普通預金に入金された金額を記録します。

さらに「借方」に手数料を売上債権売却損(非課税)と記録します。

そして「貸方」に未収金を記録すればよいのです。

このように、ファクタリングは消費税も発生せず、キャッシュフローを潤滑にすることができます。

しかし、ファクタリング取引でも消費税が発生するケースがあります。

登記費用と課税売上割合

これで、ファクタリングでは消費税を気にすることなく取引できることが分かりました。

しかし、ファクタリング契約で消費税が請求される場合があるのです。

また、ファクタリングを多用すると「課税売上割合」が気になるという方もいると思います。

最後に、この2点について解説します。

債権譲渡登記では消費税が必要なことも

ファクタリング時に債権譲渡の登記を行う場合があります。

これは登記することで、債権が譲渡されたことを債務者や第三者に法的に主張するために有効だからなのです。

この時の手続きにて司法書士に「報酬」が発生することがあります。

この報酬に関しては消費税が必要となるので注意してください。

課税売上割合とファクタリング

前述では売上で得た消費税から仕入れで支払った消費税を差し引いて納税すればよいと説明しました。

しかしそれは「課税売上割合」が95%以上であることが要件になっています。

課税売上高は以下のように計算されます。

課税売上割合=課税期間中の課税売上高(税抜き)/課税期間中の総売上高(税抜き)

引用元:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6405.htm

ここでファクタリングが分母の「総売上高」に算入されると、要件に達する比率に達しなくなる可能性が出てきます。

しかしファクタリングに関する売上に関して、国税庁はこのように解釈しています。

総売上高と課税売上高の双方には、不課税取引、支払手段の譲渡(※)、特定の金銭債権の譲渡及び国債等の現先取引債券(売現先)等の譲渡に係る売上高は含みません。

引用元:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6405.htm

この解釈に従えば、ファクタリングは総売上高に含める必要はないと言えます。

まとめ

これで、消費税に関することを気にせずファクタリングを使うことができますね。

ファクタリングを活用して安定した資金繰りを実現させましょう。

今回の記事のポイント
  • ファクタリングは中小企業の財務強化に役立つ
  • 取引先の承諾なしでもできるファクタリングがある
  • ファクタリング取引自体に消費税は不要
  • ファクタリングは課税売上割合に算入しなくても良い
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