売上高と利益は一体どちらが重要なの?

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2017/09/15

売上高と利益は一体どちらが重要なの?

湯原先生、素朴な疑問なのですが、売上高が高い会社と利益額が高い会社、どちらが財務が強い会社と言えるのでしょうか?

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売上高が高い会社です。

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えー!意外です。例え利益高が低くても売上高が高い方がいいということでしょうか?

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もちろん赤字ではないという前提ではありますが、しっかり利益を出しているのであれば利益高よりも売上高の方が重要です。

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そうなんですね。一体なぜ売上高の方が重要なのでしょうか?

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では、次のような2つの会社を例に、なぜ売上高の方が重要なのかを説明していきますね。純ちゃんは次の2つの会社を見て、どちらの方が金融機関からより多くの資金調達が出来ると思いますか?

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表1,A社、B社の売上・利益比較
A社 B社
売上高 1億円 10億円
売上原価 0円 9億円
売上総利益 1億円 1億円
売上総利益率 100% 10%

うーん。普通に考えればA社の方がより効率的に利益を生み出しているからA社の方が、金融機関に資金調達してもらいやすくなると思ってしまうんですが…。

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そうですよね。でも正解はB社です。

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一体なぜB社の方が資金調達力があるんでしょうか?原価9億円をかけないと1億円を生み出せない企業よりも、原価0円で同じ1億円の利益を生み出す会社の方が財務的に強くみえるのですが…。

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では、仮に2社の売上が前期比80%になってしまったとしましょう。そうするとA社は、売上高が8,000万円、そして原価が0円と全くかかっていないので売上総利益も8,000万円になってしまいます。

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でもB社も、売上高8億円、原価がその90%で7.2億円だから売上総利益は同じ8,000万円になるということではないでしょうか?

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違います。

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えー、なぜですか?

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いいですか?A社の場合には原価が全くかかっていないので、売上高が80%になってしまった場合には、売上総利益も80%になってしまいます。一方でB社の方は、10億円という売上規模を作っているので、金融機関側におおよそ利益も80%になるとは判断されません。おそらく利益は85%位にとどまると思われるのではないでしょうか?

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それはなぜですか?

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そうですね。万一売上高が80%になってしまったとしても、B社の場合は原価が9割を占めていたので、仕入れ先企業などに単価交渉を行ったり、コスト削減を図ったりすることで、売上総利益の確保をする余地があるのです。金融機関側もそういう余地があることを評価するので、より多くの資金調達が可能になるのです。

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POINT!

  • 利益高が高い会社よりもある一定の売上規模を持っている会社のほうが資金調達力が強い

なるほど。だから売上規模が多ければ多いほどいいんですね。

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そうなんです。まぁ、利益を十分に上げているということが大前提ですが、金融機関が企業への貸出を検討する場合、一定の規模感の売上があるというのは非常に重要なことなのです。

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なるほど。では、仮にA社が金融機関の借入を全く必要としていないとすれば、売上総利益の方が重要になるということでしょうか?

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無借金経営の場合はそうだね。でもよく考えてごらん、財務の基本とは何だったかな?

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もう大丈夫ですよ。財務の基本は現預金残高ですよね。

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そう。現預金残高が多ければ多いほど、短期的収益悪化に対する抵抗力がある、つまり不測の事態に直面しても、会社が存続できる時間を稼ぐことができるということでしたよね。それに、「借金をしてでも手元にお金を残す!」これが財務の基本でしたよね。

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そうですね。

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ではここで1つ質問。もし仮にA社とB社の資金繰りが悪化した場合、いままで借金したことのないA社とこれまでに借金をして定期的に返済をしてきたB社、どちらに金融機関はより多くのお金を貸してくれるでしょうか?

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う〜ん、A社ですかね…。

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残念。この場合はB社の方がより多くの資金調達が可能なんだ。

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でも、一般的に考えれば「初めての借金」の方が信用されますよね。

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それは一般的な話だよね。個人の人の借金は確かに「初めて」の方が借りやすいし、信用もあるかもしれないけれども、会社の借金の場合には全く違うんだよ。たとえば純ちゃんが金融機関の立場だったら、今まで全くお金を貸した事ない人に50万円を貸すよりも、これまでに1度50万円を貸して返済計画通りにお金を返してくれた人の方が安心して貸せるよね?

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確かにそうですね。

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これと全く同じ。借入実績や返済実績が全くない会社よりも、そういった実績のある会社の方が、いざという時に多くの資金を金融機関から借り入れることができるんだ。そう考えると財務的に強いのは、A社、B社どちらかな?

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いざという時により多くの資金調達ができるB社ですかね?

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その通り。現預金残高を高めるための手段の一つが金融機関からの調達、借入です。そういった意味で、財務が強い会社というのは現預金残高が多い会社、もっと言えばいざという時に現預金残高を増やせる会社となるわけです。それを考えるともう売上高と利益のどちらが財務上重要かが分かるでしょ?

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はい。ある一定の売上高があった方が資金調達力が強くなるので、財務上重要なのは、利益高よりも売上高ということですね。

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そうなんです。

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POINT!

  • 初めてよりも、借入返済実績がある会社の方に金融機関はより多くのお金を融資してくれる
  • 財務が強い会社➤現預金残高が多い会社➤いざという時に現預金残高を増やせる会社

確かに利益が高いに越したことはないけど、実際の経営の現場では、すべてが本に書いてある通りにいくわけじゃない。ここが机上の勉強と財務、すなわち実践経営の違いなんだよ。

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予想外の事態が起きることも想定した上でより手堅く運営していくスキルが「財務」、予想外の事態を想定していない机上の理論が勉強ということですね。

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そういうことなんだ。実際経営者の相談を受けていると、「当社の本業とは別の事業をしようと思うのですが…」「別法人を設立て、新しい事業を行おうと考えているのですが…」という話をよく聞きます。売上規模が3億円を越えてきた辺りからそのような話が舞い込んでくる傾向にあるようです。ですが、私としては、出来る限り別事業を立ち上げたとしても、その会社の一事業部としてその会社の売上や利益を上げていった方がいいのではと常々思ってしまいます。

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その方が売上高がより多くなるからという意味ですか?

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そうだね。別会社を立ち上げるのもいいけれども、私たち財務コンサルタントの立場からすると、より早く売上高10億円を目指して欲しいなと思ってしまいますね。売上高1億円の会社10社の調達力よりも、売上高10億円の会社1社の調達力の方が高いということをより多くの経営者に伝えたいですね。

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本日のまとめ

  • 利益高が高い会社よりもある一定の売上規模を持っている会社のほうが資金調達力が強い
  • 初めてよりも、借入返済実績がある会社の方に金融機関はより多くのお金を融資してくれる。
  • 財務が強い会社➤現預金残高が多い会社➤いざという時に現預金残高を増やせる会社
  • 机上の勉強と実践経営は違う、実践経営で重要なのが予想外の事態が起きることを想定した上で手堅く運営していくスキル「財務」
  • 売上高1億円の会社10社よりも、売上高10億円の企業1社の資金調達力の方が高い
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