
借入金の利息は売上高の1%未満であれば問題無し!
前回の「借入金」の講義で、支払利息が多くても、それが経営を圧迫しなければ良いというお話をされていて、少し気になったのですが…。経営を圧迫しないための支払利息の基準みたいなものはあるのでしょうか?
もちろんあるよ。じゃあ今日は財務における支払利息の考え方について説明していくよ。
ありがとうございます!
最初に純ちゃんに質問なんだけど、通常商品を仕入れる時には仕入代金を支払いますよね?
当たり前じゃないですか。支払代金を支払わないと訴えられてしまいますよ!
では、お金を借りた時には必ず支払利息を払いますよね?
そうですけど…。個人的にはあまり支払いたくないですね…。
それはなぜかな?これは考え方だけれども、金融機関にとっての商品がお金であって、その仕入れ代金として利息を払うということだから、商品を仕入れる場合と何ら変わらないよね?

やっていることは本質的には同じなのになぜ利息を払うのを嫌がるんだろう?
うーん。それは、そもそも金融機関から借入をするのに抵抗があるからだと思います。
そうですか。それならば仕方ないですが、もう1つだけ質問をいいですか?
はい。
もし「無利息でお金を貸しますよ」と言われたらどうですか?
それなら借ります!でも本当に無利息なんですよね?
この場合はそうですが、実際に無利息で借入ができるって話はそうはありません。ここで私が確認したかったことは、「無利息なら借りる」と純ちゃんが回答したことです。本当に借入が嫌なのであれば、無利息でも借りないはずです。
確かに、言われてみればそうですね
ほとんどの経営者の方がそうなのですが「借入」自体が嫌なのではなく、「利息を支払う事」が嫌なんだそうです。
なんだか損した気分になるからでしょうか?
そうなんだと思います。確かに個人で消費者金融からお金を借りる時には、この考えでいいかもしれません。でも、これはビジネスでのお話です。商品を仕入れるための代金は支払うのに、金融機関の商品の代金である借入の利息は払いたくない。なんかこれって矛盾していませんか?
そうですね。
少し考え方を変えてみてください。その借入でビジネスを拡大させた時、どれだけの利益が会社にもたらされると思いますか?たとえば、飲食店で、2,000万円の借入をして立ち上げたお店が年商1億円、売上総利益率が70%であったとすれば7,000万円、税引後の当期利益率が5%であったとしても500万円の利益がもたらされる訳です。2,000万円の借入利率がとんでもなく高く5%だったとしても、利息はたったの100万円ですよ。
その借入によって、上手く利益が生み出せればいいんですけどね…。
むしろ借入によって支払利息も捻出できないほどの利益しか生み出せないのであれば、そもそもビジネスモデルから見直した方がいいと思いますよ。
そうですね。ただ、やはりそこまで上手くいくかという不安はあるんじゃないですかね。あとはもし利益が上がらなかった時にはどうしようという不安も…。
確かに、ヤクザものの映画だったり、ヤミ金業者被害にあった人のドキュメンタリーや特集がよくメディアで放送されているので、利息は悪だというイメージがみなさんの心のどこかに染み付いてしまっているのかもしれませんね。ただこれまで多くの財務相談を受けて、多くの財務諸表を見てきた経験からすると、売上高に対する支払利息の占める割合は1%を超えなければ何の問題もないという事です。
売上高の1%を超えなければ、借入はどんどんすべきだということでしょうか?
そうです。逆に1%を上限と考えて積極的に借入を進め、現預金残高を高めていき、大きく事業を拡大させていった例を私は多く見てきました。いわゆるレバレッジ経営というものです。
なるほど。多くの人はその基準のパーセンテージを知らないから不安なんじゃないでしょうか?私も最初は「借入」も「利息」もどこまでしていいのか基準が分からなかったんで不安だったんですが、中田先生の「売上高の1%という基準を超えなければ問題ない」という基準のパーセンテージを聞いたことで、「借入」や「利息」に対しての不安感が一気に解消されました。
そうですね。やはり財務にも「ここまでならOK」という基準があります。それを少しでも多く知ることが、より事業を拡大させやすくするポイントです。

では、少しここで頭の体操をしてみましょう。当社の平均調達金利は2%です。年商10億円の会社とした場合、借入残高はいくらまで増やせるでしょうか?
うーん。支払利息は売上高の1%までだから、10億円の1%は1,000万円。金利が2%で支払利息が1,000万円だから、その時の借入は…5億円です!
すばらしい!正解です。このようにきちんと基準を知って、調達をスムーズに進めていけば、年商のおおよそ半分の借入ができてしまうということなんです。
「借入」の力って絶大なんですね。
そうなんです。でもやはり「借金や利息は悪だ」というイメージから、支払利息を減らそうとして、借入の繰上返済をしてしまい、手元の現預金残高を必要以上に少なくしていく経営者もいますが、これは財務を改善しているように見えて財務を悪化させている行為なんですよ。
現預金残高を多く持つことこそが財務を強くする基本ですもんね。
そうだね。財務で大切なのは平均月商の3ヵ月分以上の現預金残高を維持するための財務戦略に取組み、支払利息を売上高の1%未満にコントロールしていく経営なんです。
なるほどですね。なんだか少しずつ財務の本質や考え方が見についてきたような気がします。
その調子で勉強をどんどん進めていこう!
本日のまとめ
- 支払利息が売上高の1%未満であれば財務上問題ない!むしろ、平均月商の3ヶ月分以上の現預金残高を維持しながら、1%未満の支払利息で資金調達をすすめ、レバレッジ経営を目指していくべし。