理美容室経営者向け、店舗展開の融資について〜財務ナビ研究
みなさん、こんにちは。
財務ナビスクール~中小企業のCFO~講師の中田です。
今回の財務ナビ研究では理美容業を取り上げてみます。
財務研究なので、理容業と美容業の本来的目的の違いや理容師法と美容師法の違い等は目的ではありませんのであしからず。
さて財務的にみて理美容業はいわゆる「箱モノビジネス」です。
少なくとも金融機関はそう見ています。
つまり、理美容業をスタートさせるためには理美容室を作らないと始まりません。
経営者としては物件を探し、不動産仲介会社に交渉して保証金等の入居条件が決まり、内装業者に相談して内装が決まり、メーカーに相談して備品等取扱商品が決まってきます。
そのようにして一つの理美容室をオープンさせるための予算が決まり、金融機関に対して相当の設備資金を申込むことになります。金融機関にしても融資した資金が店舗という目に見えるモノに代わるので分かりやすいですね。
理美容業とはそうしたビジネスだと金融機関は思っているのです。
ですから面貸し、業務委託等いろんな呼び方がありますが、そのような業態で受けている個人の方は、金融機関からは理美容業者という認識にはなっていないと思ってください。
これはのちほど触れますが、財務的側面から見ると非常にリスキーと言えるでしょう。
財務=お金というイメージをもっているでしょうが、お金って何なのでしょうね?
これをはき違えると全く違った方向へ行ってしまいます。
お金=成功者、優雅、贅沢、ブランド品、タワーマンション、高級外車・・・をイメージされますか?
財務の世界では、お金=時間、存続、潰れないをイメージしていただきたい。
その延長線上に拡大・成長(多店舗展開)があります。
それではお金はどこから生まれてくるのでしょうか?
売上・利益の最大化と納税から生まれてきます、と言った瞬間に理美容業経営者の中にはこのページから去ってしまう方もいるでしょうからお待ちください!!!
正しくは、売上・利益の最大化と納税「からも」生まれてきます。
しかし最も早く、効率的なお金の生みだし方は、「銀行借入=融資」です。
お金は借りて来て下さい。自分のお金でビジネスを勝負してはいけません。それに自分のお金では大した勝負は出来ないでしょ?笑
そして自分のお金ではビビって勝負できないでしょ?笑
他人のお金だったら気持ちよく勝負できるんじゃないでしょうか?これはマジで!
財務の入口はそのように考えてください。
財務の基本は決算書のマネジメントに尽きます!
決算書に同正面から取り組むかで全てが変わります。全力で経営するなら、正しい方向へ進んで欲しい。初期の方向転換は少しの努力で済みますが、かなりやらかしちゃってからの方向転換にはそれ相応な努力を要します。
今回は損益計算書に注目しますね。その方が皆さんがイメージしやすいからです。
売上高を100%としてお伝えしますと、売上原価(シャンプーその他)はどれ位でしょうか?
基準は10%において下さい。
売上原価が10%を超えるとなると、その理由を考えてください。
単に安売りをしているのか?高付加価値原料を使っているとか・・・
なぜその理由を考えていなければならないかというと、金融機関からの融資の際に、融資担当者から必ずその点を聞かれるからです。
質問された時に間違っても、そうなの?うちの原価ってちょっと高いの?なんて回答したらアウトです!
次に人件費率を見てください。
基準は40%弱において下さい。
当然、1店舗経営と2店舗以上経営では異なってきます。
経営者の給与(役員報酬)を何店舗で支えているかがあるからです。
かといって複数店舗経営で1店舗経営の時と同じ発想で、役員報酬倍々ゲームなんてやってたらこれもアウトですね!
次に広告宣伝費率を見ましょう。
最近では飲食業も各種ネット予約サイトに多額の広告宣伝費をかけていますが理美容業も同様になってきているのではないでしょうか?
広告宣伝費率20%という会社もよくあります。
最後は地代家賃率を見てみましょう。
いわゆる家賃比率です。こちらは10%を基準に考えてみてください。
1等地戦略だ!といって高い家賃比率で勝負して黒字経営ができず悩んでいるなんて相談をよく受けます。
最終的には税引前利益率です。
この比率が10%超であれば全く問題ありません。
7%・・・微妙、これ以上落としたくありません。
なぜかって?
金融機関の融資審査のハードルが上がるからです。
だって利益が出ていない=経営が下手、経営者のお手盛り経営・・・と思われてしまうからです。
いつ何度にいくらでも金融機関から融資が受けられる経営に努めていただき、まずは現預金残高(お金)を平均月商の3ヵ月分以上維持し、盤石な財務体制を築くことで、絶対に潰れない経営をしていただければと思います。
今回は理美容経営者の方のイメージがつかみやすいように損益計算書の指標でお話しました。
本来の財務とは損益計算書ではなく、貸借対照表のマネジメントです。
こちらについては毎月開催している、財務ナビスクール~中小企業のCFO~で解説しています。
是非一度お申込下さい。
それでは引続き、財務ナビ研究をお楽しみに。