備造作・工具器具備品等の有形固定資産とは?
現在の税法では30万円未満のものは少額減価償却資産として費用計上できます。しかし原則は10万円以上のものは耐用年数に応じて費用計上します。
なので、10万円以上のものは有形固定資産として減価償却していくものとの理解をもってください。
減価償却の方法は、定率法と定額法の2種類あり、法人の場合は定率法が原則です。法人で定額法を原則とするのは「建物」だけです。それ以外は定率法が原則です。
定額法に変更しようとする場合は、現在の事業年度が終了する日までに税務署に来期以降は定額法にしますよという変更届出書を提出する必要があります。
3月決算でいうと、平成28年3月31日までに提出しなければならないということです。
定額法はその名の通り償却期間中の費用計上額が一定です。
定率法は償却初期に多額の費用計上をし、後期になればなるほど費用計上額は減少します。
例)取得価額1,000,000円 耐用年数10年 定額法償却率0.1 定率法償却率0.25
定額法の場合
1年目より常に年間償却額は100,000円
定率法の場合
1年目:1,000,000円×0.25=250,000円
2年目:(1,000,000-250,000=750,000)×0.25=187,500円
3年目:(750,000-187,500=562,500)×0.25=140,625円
4年目:(562,500-140,625=421,875)×0.25=105,468円
5年目:(421,875-105,468=316,407)×0.25=79,101円
以上から分かるように、法人の原則である定率法でいけば、4年間は定額法よりも多くの減価償却費を計上することができます。
なので、財務戦略としては収益状況の立ち上がらない初期段階で多額の費用計上を可能とする定率法は危険だと言っているのです。
決算書の有形固定資産を見たとき、減価償却累計額という勘定科目がある場合とない場合の2種類があります。
これは減価償却費の計上の際に、
減価償却費/減価償却累計額 として仕訳をしているか、
減価償却費/設備造作等有形固定資産 として仕訳をしているかの違いです。
前者を間接法といい決算書の金額は取得価額を記載する方法で、後者を直接法といい決算書の金額は後どれだけ費用計上できるかの金額(簿価といいます)を記載する方法です。
減価償却累計額がないからといって減価償却費を計上していないと早合点しないでください。その場合には損益計算書を見てください。
いずれの方法をとっていても減価償却費はあります。